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筋力を保つことが予防につながります

適度な運動を心がけましょう

【腰椎椎間板ヘルニア】

保存療法を行い、動ける程度まで痛みがおさまったら、安静を保つ必要はなく、日常生活に戻ります。 症状がぶり返さなければ、薬の服用は中止します。同時に、運動を始めるようにします。 腹筋・背筋の筋力を高め、脚の筋肉の柔軟性を保つような運動を心がけましょう。

手術を受けた場合は、手術部位の痛みが軽くなってきたら、徐々に日常生活に復帰します。 問題がなければ、そのまま経過観察を続けます。痛みがおさまってきたら、腹筋や背筋の筋力アップを図るために運動を始め、 ハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)や、股関節のストレッチを行います。

いずれにしても、患者さんはおおむね3カ月で、スポーツや体を使う仕事をふくめた元の活動に戻ることができます。 その後も、症状の再発を防ぐため、筋力や柔軟性が落ちないように適度な運動を続けることがたいせつです。

【腰部脊柱管狭窄症】

手術を受け、退院したばかりでも、手術部位の痛みがおさまり脚の状態がよければ、日常の生活に復帰してかまいません。 腰椎椎間板ヘルニアと同様に、筋力強化やストレッチなどの運動をします。
また、脊柱管をゆるめる前屈体操をしてもよいでしょう。

この病気は高齢の患者さんが多いので、意識して体を動かさないと筋肉が衰えて、余計に体を動かしにくくなります。 無理な動きは神経の障害を進行させることになるので禁物ですが、腰椎への負担を減らし、日常の動きをスムーズにするために、 適度な運動を続けることがたいせつです。 これは手術を受けた患者さんも、保存療法を行っている患者さんも同様です。

エアロバイクが最適です

腰部脊柱管狭窄症の患者さんには、歩く運動が適しています。 少し歩くと痛みやしびれが出るようなら、腰を少し前かがみにすると比較的楽に歩けますし、歩くのが不安な場合は、杖をついたり、シルバーカーを押しながら歩くとよいでしょう。

歩いている途中で痛みやしびれが出て歩きにくくなったら、ベンチなどに腰かけて十分に休憩をとり、症状が消えてから再び歩くようにします。 つらい症状をがまんして無理に歩き続けるのは危険なうえ、傷めている神経をさらに悪化させることになりかねません。 がまんして歩き続ければ、歩ける距離が延びるというデータはありません。どの程度歩けばよいかわからなければ、担当医に相談してください。

腰を曲げて運動できるという点では、自転車をこぐ運動が最適です。 屋外で自転車に乗ってもかまいませんが、坂道を上り下りするようなコースでは脚腰に負担がかかりすぎることがあります。
自転車に乗る場合は、安全な場所で無理のない乗り方をしてください。 もっともよいのは、室内で自転車型の運動器具、エアロバイクをこぐことです。 家で乗れるように購入するか、リハビリ施設や運動施設でのエアロバイク利用をお勧めします。

腰椎椎間板ヘルニアは働き盛りに多くみられます

腰椎椎間板ヘルニアは椎間板の加齢変化が軽度から中等度のときの発生頻度が高いため、20歳代から40歳代の働き盛りの男性に多くみられ、10歳未満の小児や80歳代の高齢者にも発生することがあります。 誰にでもおこる可能性のある病気ですが、ある程度は遺伝的要因が関与すると考えられており、家系内に腰痛のある人が多い場合は、かかりやすい傾向にあるといえます。

最近の研究では、とくに若年性の腰椎椎間板ヘルニアの患者さんの場合、ほかの家族も腰椎椎間板ヘルニアをおこしている確率が高い傾向があるという調査結果がみられました。 腰椎椎間板ヘルニアは、遺伝的要因に、職業や生活上の環境的要因がからみ合って発生するといわれており、重労働や長時間の運転、喫煙なども、関連する可能性があると考えられています。