椎間板ヘルニアの主な症状
おもな症状は腰痛と脚の痛み、しびれです
腰椎椎間板ヘルニアは急に痛みが出るのが典型的なタイプですが、徐々に症状が強くなるタイプもあります。
おもな症状は、腰痛、脚の痛み、脚のしびれで、痛みとしびれの両方がみられることもあります。脚の症状は片側だけの場合と両側に出る場合があります。
脚の痛みやしびれは、お尻から太もものうしろ側、ふくらはぎ、かかと、足先へと伸びている坐骨神経に沿っておこる坐骨神経痛が多いのですが、
脚のつけ根の鼠径部痛や大腿神経痛もみられます。
痛みは、前かがみになったり、いすに腰かけたりすると強くなります。
せき、くしゃみ、重いものを持つ、動作を変えるなどの動きが痛みに影響し、安静にしていても、立ち続け、座り続けといった一定の姿勢のままでいるとつらくなるのが特徴です。
痛みの強さは、病状によって異なりますが、七転八倒するような痛みが2日も3日も続くということはほとんどありません。
病状が進行すると、感覚障害が現れることもあります
病状が進行すると、脚の筋力が低下して力が入らない、足首に力が入らず、か
かとやつま先が上げにくいなどの症状や、脚の感覚が鈍くなる感覚障害が現れることもあります。
また、飛び出した髄核が、勝脱や直腸の働きと関係している神経を圧迫している場合には、
勝脱、直腸の機能や感覚に障害が出る勝脱直腸障害がおこり、排尿や排便のコントロールがうまくできなくなったり、
肛門、会陰部の周囲にしびれや灼熱感が出たりします。
これらの症状が出た場合は、時間がたつとヘルニアを除去しても傷んだ神経は回復しないので、緊急の手術が必要です。
なお、小児が腰椎椎間板ヘルニアをおこした場合には痛みがあまりなく、
その代わり、腰椎の動きが制限されて、両脚を伸ばして座れない、前にかがめない、
歩き方がおかしいといった症状を訴えることがあるので、保護者の方々は注意しましょう。
椎間板の状態によって4つのタイプに分類されます
腰椎椎間板ヘルニアは椎間板の飛び出し方によって、次の4つのタイプに分類されています。
●髄核が線維輪を押し出して椎間板の一部がふくらんで突き出た「膨隆型」
●髄核が緑維輪を突き破って飛び出した「脱出型」
●髄核が線維輪と椎骨どうしをつないでいる後縦執帯を破って飛び出している「穿破脱出型」
●飛び出した髄核の一部が、離れた場所に移動してしまっている「遊離脱出型」
実際の腰椎椎間板ヘルニアでは、髄核が飛び出すだけでなく、線錐胎も一緒に出てしまったり、
椎間板の上下を覆っている薄い軟骨終板を巻き込んでいたりすることがあります。
下記の図は平面のイメージなので、膨隆型は症状が軽く、遊離脱出型は症状が重いように感じるかもしれませんが、
実際は複雑な形をした椎骨の内側でおこっているので、どのタイプであるかということよりも、次のような点が症状や、治り方の違いにつながります。
●飛び出した髄核と、椎骨どうしの連結部である椎間関節とのかかわり
●椎体の後方にある神経や執帯との関係
●軟骨終板なども関係しているかどうか
診察では、こうした点をふくめ、さまざまな角度から十分に検討したうえで、治療法の選択を行います。
膨流型 | 脱出型 |
髄核が線維輪を押し、背中側に突き出している |
髄核が緑維輪を突き破って飛び出し、椎骨同士をつないでいる後縦靭帯を押している。 |
穿破脱出型 | 遊離脱出型 |
髄核が後縦執帯も破って、飛び出している |
飛び出した髄核の一部が分離して移動している |