椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアの原因は、椎間板の老化です
椎間板も年齢とともに老化します。
体のほかの器官と同じく、脊柱もまた新陳代謝を繰り返して生まれ変わっており、加齢とともに年をとっていきます。
脊柱の場合、老化は椎間板から始まります。
椎間板中心部の髄核は若いときには水分に富んだ弾力のある組織ですが、加齢に伴って細胞の代謝が落ち、ふくまれる水分の量が減っていきます。
椎骨には血液が通っていますが、椎間板の髄核には血行がないため、軟骨終板を介して、椎骨との間で浸透圧による代謝が行われています。
具体的には、椎間板が押されたときに老廃物が押し出され、ゆるめられたときに酸素や栄養が取り入れられるというしくみになっています。
老化によって椎間板の組織が傷んでくると、血行がとほしいために障害部分が修復されにくくなり、さらに負担を受け続けていると、障害部分が拡大していくと考えられます。
痛みやしびれなどの症状が現れると、腰椎椎間板ヘルニアと診断されます
髄核の弾力が失われると、外部から圧力を受けたときに髄核の外側にある線維輪にかかる力が大きくなり、線維輪に小さな亀裂が入ります。
これらの亀裂は修復されずに残り、放射状の断裂へと移行していきます。
この線維輪の切れ目から内部の変性した髄核が飛び出して腰椎椎間板ヘルニアが発生します。
椎間板の変性が進んでいるだけの段階は、画像検査で椎間板が背中側にふくらんできているのが認められても、患者さんは無症状です。
ところが、裂けた線維輪から髄核が背中側の脊柱管内や、そのわきの神経根の出口方向に飛び出して、そこを通っている神経根や馬尾を圧迫すると、腰痛や脚の痛み、しびれなどの自覚症状が出てきます。
飛び出した髄核によって神経が障害を受け、神経や神経周囲にうっ血や炎症がおこって、痛みやしびれが発生するのが、腰椎椎間板ヘルニアです。
神経への圧迫がもとになり、症状が起こります
椎間板の老化で線維綸に亀裂が入り髄核が飛び出してもこれだけでも症状は現れません。 飛び出した髄核が神経根や馬尾を圧迫しうっ血や炎症が起こって、痛みや痺れなどの症状が出ると腰椎椎間板ヘルニアと診断されます。 |
腰椎椎間板ヘルニアがおこりやすいのは、第4腰椎と第5腰椎の間です
ヘルニアは髄核のみが飛び出す場合もありますが、髄核の外側にある線経論が一緒にはみ出すケースも多くみられます。
小児や高齢者では、椎体の上下を覆っている軟骨終板がはがれて、ともに飛び出すことがあります。
腰椎椎間板ヘルニアがもっとも発生しやすいのは、第4腰椎と第5腰椎の間、次いで第5腰椎と仙骨の問で、両方で全体の90%以上を占めています。
第4腰椎と第5腰椎の間におこりゃすいのは、その位置が腰椎のなかでいちばん動きの多い箇所であり、常に大きな負担がかかるためです。
この部分の神経板が坐骨神経とつながっているので、腰椎椎間板ヘルニアでは坐骨神経痛が多くみられます。
腰椎椎間板ヘルニアは働き盛りに多くみられます
腰椎椎間板ヘルニアは椎間板の加齢変化が軽度から中等度のときの発生頻度が高いため、20歳代から40歳代の働き盛りの男性に多くみられ、
10歳未満の小児や80歳代の高齢者にも発生することがあります。
誰にでもおこる可能性のある病気ですが、ある程度は遺伝的要因が関与すると考えられており、家系内に腰痛のある人が多い場合は、かかりやすい傾向にあるといえます。
最近の研究では、とくに若年性の腰椎椎間板ヘルニアの患者さんの場合、ほかの家族も腰椎椎間板ヘルニアをおこしている確率が高い傾向があるという調査結果がみられました。
腰椎椎間板ヘルニアは、遺伝的要因に、職業や生活上の環境的要因がからみ合って発生するといわれており、重労働や長時間の運転、喫煙なども、関連する可能性があると考えられています。